超音波用語集

超音波技術に関する用語をまとめたページです。
超音波技術を理解する際にご活用ください。

あ行の用語

  • 圧電効果

    ピエゾ効果ともいう。特定物質に力を加えると電圧を生ずる現象を圧電効果という。一方、電圧を加えるとひずみや力を生ずる現象を逆圧電効果という。

  • 圧電高分子

    圧電効果を有する高分子を指し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体(P(VDF-TrFE))などがある。

  • 圧電材料

    圧電効果を有する材料を指し、単結晶、セラミックス、高分子などがある。

  • 圧電セラミックス

    分極処理すると圧電効果を持つ強誘電体セラミックスを指す。代表的なものとしてはPb(Zr,Ti)O₃系(PZT)やBaTiO₃ 系がある。

  • 圧電単結晶

    圧電効果を有する単結晶を指し、水晶、ニオブ酸リチウムLiNbO₃などがある。

  • 圧電トランスデューサ

    機械的歪みを電気信号に、または電気信号を変位に変換する素子、装置。周期信号を加えることで、音と電気信号の相互変換にも用いられる。

  • アレイセンサ

    細い短冊状の振動子を多数並べて配列したセンサで、超音波ビ ームを形成、走査するために用いられる。湾曲させたり直線状に形成する。

  • 位相スペクトル

    超音波パルス信号をフーリエ変換したときの振幅(強度)の大きさと位相を周波数の関係で表したもの。

  • 液体粘度

    液体の粘り度合いを指し、液体の流れやすさ、流れにくさを表す度合い。単位は[Pa・s]で表す。

  • エロージョン

    キャビテーションなど機械的な作用によって、材料表面が変形したり、徐々に浸食する現象のこと。

  • 音圧

    音波の膨張と圧縮により生ずる、媒質中の圧力変化の実効値。圧力の動的変化分から静圧を引いたもの。

  • 音圧マイクロホン

    受信した音波の音圧に比例した電気信号を出力するマイクロホン。

  • (固有)音響インピーダンス

    音波が伝搬する媒質の密度と音速の積。境界面を形成する2種の物質の音響インピーダンスの差異が大きい程、界面での反射率は大きくなる。単位は[Pa・s/m]=[N・s/㎥]=[kg/㎡/s]で表す。

  • 音響放射圧

    音波が物体のある面に入射するときに及ぼす静圧力のこと。単位は[Pa]で表す。

  • 音響レンズ

    周辺媒質と音速の異なる媒体に直進性の音波が入射するときに屈折する。この現象を利用して音波を集束あるいは発散させる媒体を音響レンズという。

  • 音速

    媒質中を伝わる音波の速度。空気中では約340 m/s(15℃)、水中では約1470 m/s(15℃)の速さで進む。単位は[m/s]で表す。

か行の用語

  • 輝度変調

    受信エコーの振幅(強度)の大きさを輝度の強弱に表示変換すること。受信エコーの表示方法であるBモード(スコープ)で使用される変調方式。

  • キャビテーション

    「空洞現象」を示し、液体中に振動を加えると強い負圧によって液中に空洞あるいは小気泡が発生する現象をいう。発生した空洞や気泡が砕ける際に衝撃力が発生する。

  • 共振周波数

    特定の周波数の励振信号に対して、強い応答を示すことを共振(共鳴)と言い、その周波数を共振周波数と言う。

  • 強誘電体

    自発分極の方向を電界の印加によって変化し、かつ電界を取り除いた後、分極が残る物質を指す。

さ行の用語

  • 指向角

    指向性の鋭さを表示する角度。一般に、音圧半減全角または音圧半減半角で表す。

  • 指向性

    音波が全方向に一様に放射されるのではなく、一定方向に強く放射されること。

  • シングアラウンド

    超音波の伝搬時間を利用して位相形発信器(超音波送受信の繰り返し)を構成し、その発振周波数から超音波の伝搬時間を求める(方法)。

  • 進行波

    伝送媒質中を一方向に進む音波。

  • セルフドレッシング効果

    一般的には、刃物などの工具が自身で刃先などを研ぐ効果。超音波振動の効果で、ヤスリが目詰まりを起こしにくくなること。

  • 塑性加工

    素材に機械的応力を加え変形させ、その機械的応力を除いた後にも変形が持続する性質を利用した加工手法。塑性加工には、鍛造加工、プレス加工、押出加工、圧延加工、引抜加工などがある。

た行の用語

  • 楕円振動

    縦振動とたわみ振動や縦振動とねじり振動などの複合的な振動で、振動端部の軌跡が楕円状になっている振動。

  • 多重反射

    媒質の境界間で繰り返し生ずる反射。

  • 縦振動

    細長い棒もしくは板状の物体が、長手方向に伸縮する振動をいう。粗密波。

  • 縦波

    音波の振動する方向と、その振動が媒質中を伝搬する方向が一致している波。粗密波とも呼ばれ、気体、液体、固体に見られる。

  • たわみ振動

    振動体の横波(たわみ)を用いた振動。

  • 弾性表面波

    弾性体の表面だけにエネルギが集中して伝搬する音波のこと。縦波成分と表面に垂直な変位をもつ横波成分を含み、表面波の波長程度の深さにエネルギが集中して進行する。

  • 超音波強度

    音波の進行方向に垂直な単位面積を単位時間に通過する音響エネルギのこと。単位は[W/㎡]で表し、音波強度、パワー密度、ワット密度ともいう。

  • 超音波振動子

    印加する交流電圧と同じ周波数の機械振動を出力する電気-機械音響変換器をいう。電歪型では、水晶・ロッシェル塩・チタン酸バリウム・チタン酸ジルコン酸鉛があり、磁歪型では、フェライト・ニッケル・アルフェロ等の強磁性体等がある。これらには可逆作用があり、機械-電気音響変換器として機械振動を電気信号として出力する。

  • 超音波探触子

    試料に関する情報を得る為の超音波振動子。例えば、測定対象に向けて超音波を放射し、また対象から信号を受信するための送受波器。

  • 超音波ビーム

    振動子から放射する音波に指向性を持たせることにより、ある方向に集中して出された音。

  • 超音波霧化分離

    熱を使わず超音波により溶液を霧状にし、発生した霧を回収して目的物質を分離・濃縮する分離方法。

  • 定在波

    ある有限長の媒質で、入射波と反射波が重なって生じる移動しない波。

  • ドプラ法

    音源、観測者の移動速度によって、発生時の音波の周波数が変移されて観測される現象。遠ざかるまたは近づく音源から発生した音波は、もとの音波より低く(遠ざかる音源)または高く(近づく音源)観測される。

な行の用語

  • 乳化

    互いに混合しない2種以上の液体界面に超音波振動を与えると、分散作用により液体同士が混合する現象のこと。

  • ねじり振動

    振動体のねじりを用いた振動。振動体の中心軸に対し、ねじれ方向の振動。

は行の用語

  • バースト波

    定められた時間だけ持続する単一周波数の波形信号。任意の周波数の超音波を発生させるために用いる。パルス波に比べ狭帯域の周波数特性を示す。

  • パーティクル除去

    微小(細)な汚れの粒子を除去すること。主に超音波洗浄では、MHz帯の高周波を用いる。

  • バイモルフ

    2枚の圧電セラミックスを貼合わせた構造の振動子(バイモルフ振動子)。比較的大きな変位が得られる。

  • パルスエコー法

    送波器から超音波パルス信号を測定対象物に送信し、その反射波を受信、処理することで対象物の情報を得る方法。

  • 非線形現象

    音波の伝搬中に媒質の固有の特性によりひずみを生じ、高調波が発生すること。

  • 複合振動

    2つ以上の振動が重なり合った振動。縦振動-たわみ振動、縦振動-ねじり振動など。

  • フリーラジカル

    不対電子をもつ原子や分子、あるいはイオンのことを指す。

  • 分極

    誘電分極または電気分極ともいう。物質に電界を印加したときには、内部の電荷が移動し、電気双極子が生じる。単位体積当たりの双極子モーメントとして定義され、その単位は[C/㎡]で表す。

  • ペロブスカイト型結晶

    圧電セラミックスには、化学式BaTiO₃ようにABO₃と表すペロブスカイト型結晶構造を持つものが多い。この構造では、正方体の角に金属イオンA、体心の位置に金属イオンB、面心に酸素イオンOが配置している。

  • ポアソン効果

    物体を変形させた際に、加えた力の方向に対して垂直方向に伸縮変化する現象。具体的には物体がある方向に伸びるとそれに対して垂直方向に縮み、逆にある方向に縮むとそれに対して垂直方向に伸びる。

  • ポンピング効果

    超音波洗浄において、高速に周波数切替えを行う事で定在波も高速に移動する。その効果により、微細な隙間の汚れをポンプのように押し出す効果のこと。

や行の用語

  • 横波

    音波の振動する方向と、その振動が媒質中を伝搬する方向が垂直な音波のこと。横波は弾性体のずれ変形によって生ずるため、固体のみに生ずる。

ら行の用語

  • ランジュバン型振動子

    ランジュバン(P.Langevin)によって開発され、圧電素子の両端を金属ブロックで挟み込み接着等で一体化した構造の振動子のこと。その中でも、ボルトで締め付けて一体化した構造の振動子をボルト締めランジュバン型振動子(Bolt-clamped Langevin type Transducer:BLTと略す)という。

欧文

  • Aモード

    一般的な探傷器の表示波形。超音波探触子における受信エコ-強度(波形)と超音波の伝搬時間(距離)とを直角座標上に表示させたもの。

  • Bモード

    試験体の「断層像」。Aスコ-プ波形を輝度変調(又は色変調)して線で表し、試験体上での超音波探触子の位置と超音波伝搬時間(距離)とを直角座標にとったもの(XZ平面)。異常部の存在・分布状態・深さを直観的に把握できる。

  • Cモード

    試験体内のある深さの「スライス画像」。光学顕微鏡像と同じで超音波探触子におけるある深さの受信エコ-強度を輝度変調して、試験体上における位置に表示したもの(XY平面)。平面的な異常の広がり分布等が容易に把握できる。

  • OHラジカル

    水酸化物イオン(OH-)から電子が電離したもの。強い酸化力を持つため光触媒など化学反応に利用される。

  • PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)

    ペロブスカイト構造をもち、チタン酸鉛PbTiO₃とジルコン酸鉛PbZrO₃からなる固溶体。優れた圧電特性を有する圧電セラミックス材料。

  • ZnO(酸化亜鉛)

    六方晶系結晶で圧電性を有する。薄膜の加工ができることから高周波用の圧電振動子として利用されている。

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